シワのない洋服は着ていて気持ちが良いだけでなく周囲に好印象を与えることもできるため、日頃からアイロンをかけてきれいな状態にしておくことが大切です。クリーニングに出すのも選択肢の1つですが、着るたびにクリーニングに出すのは手間がかかってしまいます。
アイロンがけは面倒、難しいと感じる方は少なくありませんが、ポイントをおさえればご自身でも簡単にアイロンをかけることができます。
ここではアイロンのかけ方の基本からきれいに仕上げるためのコツ、そしてアイテム別のアイロンがけの方法をわかりやすくご紹介していきます。
アイロンをかける前の事前準備
干す時の一工夫でよりきれいな仕上がりに
アイロンをかける前の事前準備として、洗濯した洋服を干す時の一工夫を行うことでよりきれいに仕上げることができます。干す時に軽く洋服を振りさばくと洗濯時についたシワをある程度伸ばすことができるので、その後のアイロンがけにかかる手間を減らすことができます。
シワになったまま乾かしてしまうとそのまま型が付いてしまい、その後アイロンで伸ばすのに時間がかかるだけでなく、高温のアイロンが長時間で生地に当たることになるため洋服が傷みやすくなってしまう可能性もあります。
大切な洋服を守るためにも干す段階から気をつけておくことが大切です。
またアイロンをかける際に洋服が完全に乾いた状態ではシワが伸びづらくなってしまうので、干しすぎないようにすることもポイントです。もし乾きすぎてしまった場合には、霧吹きを使用して洋服を湿らすようにしましょう。
洗濯表示は必ず確認
洋服には基本的に洗濯表示が付いておりアイロンがけに関する指示も書かれているので、事前に必ず確認するようにしましょう。特に、デリケートな素材を使用しているおしゃれ着などにはアイロン不可のマークが付いており、その場合はアイロンがけができないので注意が必要です。
アイロンがけができる場合でもアイロンの温度に制限があるので、こちらも忘れずに確認をしましょう。低温、中音、高温の3種類に分けられていますが、低温は110度までのスチームなしでのアイロンがけが可能、中温は150度まで可能、高温は200度まで可能とされています。
低温に対応している洋服に高温のアイロンをかけてしまうと、変色したり生地が溶けたりといったトラブルになってしまうので、洗濯表示のチェックは忘れずに行いましょう。
ちなみに洗濯表示は2016年から表示方法が変更されており、製造時期によって表示方法が異なっています。従来表示の場合はアイロンのイラストに温度を示す「低・中・高」の記載があり、新表示はアイロンのイラストの中に点のマークが記載されています。
低温は点が1つ、中温は2つ、高温は3つの表示になります。アイロンがけ不可の表示は新旧どちらともアイロンのイラストにバツマークが書かれています。
当て布使用の表示は、旧洗濯表示は当て布を示す波線がアイロンのイラストの下に表示されていましたが、新表示の場合は「当て布使用」、「あて布を使用する」などの文で表わされています。
アイロンがけに必要な道具
基本アイテム
アイロンがけに必要な基本アイテムは、まずはアイロンそのものです。最近は様々な種類のアイロンが出ており、コードレスタイプやハンディタイプ、スチーム対応タイプなどがありますが、これからアイロンを購入する場合は、持っている洋服の種類やアイロンをかける頻度などに合わせて適したアイロンを選びましょう。
次にアイロン台も基本アイテムの1つです。ご自宅にアイロン台がないという方は、裏技として厚手のバスタオルなどを下に敷いて代用することもできます。このときにタオルの生地が薄すぎると熱によってテーブルや床を痛めてしまうので、十分な厚みがあるものを選びましょう。
また、白など淡い色の洋服にアイロンがけを行う場合は、色物のタオルだと色移りの原因となる場合があるため、白地のタオルを使用するようにします。
最近では安価で収納にも困らないコンパクトなタイプのアイロン台も多く販売されているので、作業のしやすさや仕上がりのきれいさを求める場合には専用のアイロン台を用意するのがおすすめです。
あったら便利なアイテム
アイロンがけには最初にご紹介したアイロンとアイロン台の2点があれば最低限の準備は整います。ただし、よりきれいに仕上げたい場合や、大切な洋服を長持ちさせたいという方は、プラスアルファであると良いアイテムもあるのでご紹介します。
まずは霧吹きです。アイロンがけを行う際に洋服が完全に乾いているとシワが伸びにくくなる特徴があるため、ある程度の湿気が必要となります。
半乾きの状態でアイロンがけをすることができれば良いですが、完全に乾いてしまった後にアイロンをかける場合には、適度に湿らせられるよう霧吹きがあると便利です。
霧吹きのスプレーに入れる水は一般的な水道水で問題ありませんが、衛生面を保つためにも常に新鮮な水に取り替えておきましょう。
クリーニングに出したようにきれいな仕上がりにしたい場合には、市販されている「のりスプレー」を使うのもおすすめです。のりスプレーを使用することでパリッとした仕上がりになり、アイロンの効果が持続しやすくなるだけでなく、表面がコーティングされて汚れやホコリもつきにくくなります。
そのため、特に仕事などで1日中ワイシャツを着て動くことが多いという方には便利なアイテムです。
そして、シルクやレーヨンなど、デリケートな素材をアイロンがけする際には当て布を使用するのも効果的です。
ポリエステル素材やプリントが施されたものも高温に弱く、直接アイロンを当ててしまうと熱で溶けてしまったり、変色したりする恐れがあります。もともと洗濯表示に当て布が必要と表示されているものはもちろんですが、長持ちさせたい洋服などはできるだけ当て布を使うようにしましょう。
当て布に使用する素材は綿100パーセントのもので、色移りを防止するために白無地のものを選ぶ方が無難です。
種類別のアイロンのかけ方と手順および注意点
シャツ・ワイシャツ
アイロンをかける機会が多いシャツやワイシャツは、パーツが多く難しく感じる方も多いと思います。クリーニングに出せばもちろんきれいに仕上がりますが、毎回出すのは面倒な上、特にワイシャツなど毎日のように使用する方は費用もかさんでしまいます。
アイロンがけのポイントを抑えれば、ご自身でも十分パリッとシワの伸びたシャツに仕上げることができます。
まずアイロンをかけていく手順ですが、面積の小さい部分から大きな部分に向かって順番にかけていくのが基本です。
最もシワが目立ちやすい面積が大きい部分は最後にかける、と覚えておくと良いでしょう。シャツ・ワイシャツの場合は襟、袖、身頃の順になります。
まず襟ですが、シャツを軽く抑えながら裏側にアイロンをかけていきます。アイロンをかけるのは裏側だけでも十分きれいに仕上がりますが、よりきれいにシワを伸ばしたい場合や厚手のシャツでシワが伸びづらい場合には、表面にもアイロンをかけましょう。
次に袖部分ですが、アイロンをかける前に形をしっかり整えてから始めるのがポイントです。袖の縫い目に合わせて歪みがないように手で整えたら、袖の付け根から優しくアイロンをかけていきます。カフスの部分は襟と同様に裏側にアイロンをかけていきます。
さらにきれいな仕上がりにしたい場合にはもう一手間加え、後ろ身頃にもアイロンをかけましょう。シャツの前身頃を開いた状態で後ろ身頃だけにアイロンがけを行うときれいにシワを伸ばすことができます。
シャツに関してさらに深く知りたい方は
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パンツ
パンツもシャツ・ワイシャツと同じように、パーツごとに分けてアイロンをかけていきましょう。具体的には裏地、腰回り、股下の順で行なっていきます。
腰回りは立体的なので少し慣れが必要ですが、ベルト通しなどの細かい部分はアイロンの先端を利用し、立体的な部分はタオルなどクッション性のあるものを中に入れてなでるようにかけるとうまくかけることができます。パンツのデザインによっては、アイロン台の角なども活用することができます。
最後に股下ですが、はじめに縫い目をしっかり合わせてから一気にアイロンをかけていきます。パンツのデザインやサイズ、しわの付き具合に応じて、足部分、膝部分、そして裾と、パーツごとに分けてかけていっても構いません。
アイロンをかける前の整え方によって仕上がりがだいぶ変わるので、事前準備はできるだけ丁寧に行うのがポイントです。
ジャケットやおしゃれ着など
ジャケットやおしゃれ着などは高温に弱いものが多く、直接アイロンを当てると傷みやすくなってしまうため、できればスチームアイロンを使用するのがおすすめです。
スチームアイロンがない場合は通常のアイロンで代用できる場合もありますが、洗濯表示を見て必ずアイロンが可能かどうかを確認してから行いましょう。装飾が多い洋服やデリケートな素材を使用しているものは無理をせずクリーニングに出し、プロに任せた方が安心です。
ご自身でアイロンをかける場合は、低温に設定して当て布を使用します。低温であっても直接アイロンをかけることで生地が傷んでしまう場合もあるので、当て布を使うのが安心です。当て布はアイロンをスムーズに動かすことができる効果もあるので、装飾が付いたアイテムでもアイロンがかけやすくなります。
立体的なデザインの場合は、アイロン台やハンガーなどにかけた状態でアイロンをやさしく当てていくときれいに仕上げることができます。
部分的にしっかりシワを伸ばしたい洋服の場合は、アイロンミトンを使用して裏側から抑えながらアイロンをかけるのがおすすめです。普段おしゃれ着が多いという方はアイロンミトンも揃えておくと手間が省けて便利です。
きれいに仕上げるコツ
アイロンがけをする際には、アイロンを持っていない手で軽く生地を引っ張りながらかけていくとシワが伸びて、きれいに仕上げることができます。このときに強く引っ張りすぎてしまうと生地がヨレたり、別の箇所にシワがよったりしてしまうので引っ張りすぎには注意しましょう。
アイロンがけがうまくいかないケースにありがちなのが、アイロンをかける際にシワを伸ばそうとして生地にアイロンを強く押し当ててしまう、またはジグザグにアイロンを動かしてしまう場合です。
圧力が強すぎるとアイロンの角などによって跡がついてしまい後から直すのが大変なので、適度な圧力で直線方向にかけるようにしましょう。当てるときのコツとして、アイロンの後ろ側に力を加えて先端を浮かすような感覚で行うと動かしやすくなります。
また手際よく、かつきれいに仕上げるために、低温から高温の順番でアイロンがけをしていくのがコツです。一度アイロンの温度が上がってしまうと温度が下がるまでに時間がかかってしまうので、あらかじめ温度別に洋服を分けてから始めると効率的に行うことができます。
このように、ちょっとしたコツを知ることでよりきれいに仕上げられるので、ぜひ取り入れてみてください。
まとめ
アイロンをかける際には、まずは洗濯表示を確認して洗濯の可否やアイロンがけの適正温度、当て布が必要かどうかなど事前の確認をしてから行なっていきましょう。そして、洋服のシワがあまり目立たない、面積が小さい部分から目につきやすい面積が大きい部分の順番で、生地を軽く引っ張りながらアイロンをかけていきます。アイロンがけが終わったらすぐに収納せずに、熱をしっかり冷ましてからしまいます。
アイロンがけは、かけ方のポイントをおさえれば時間をかけることなくきれいに仕上げることができるので、ぜひ日々のお手入れに取り入れてみてください。